むし歯予防に”キシリトール”
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- 1月2日
- 読了時間: 4分
武蔵境の歯医者 歯科の秋本和宏です。むし歯予防に有効なキシリトール(Xylitol)についてお話します。
ロッテのキシリトールガムで一躍有名になったキシリトール。
キシリトールは糖アルコールという甘味炭水化物です。砂糖の代用甘味料として有名なソルビトールやマルチトールも糖アルコールです。ロッテのキシリトールガムは特定保健用食品(トクホ)として虫歯予防に効果のある成分として”キシリトール”が登録されている食品です。

自然界にあるキシリトール
キシリトールは日常的に食している多くの果物や野菜に含まれています。人体でも肝臓で1日に約15gのキシリトールが作られています。キシリトールは現在、ガムやタブレットなどの菓子に甘味料として用いられています。果物や野菜からキシリトールを抽出することは、費用面などにより難しいため、白樺や樫の木から工業的に抽出されるキシランヘミセルロースを原料に製造されています。果物や野菜に含まれるキシリトールも工場で作られたキシリトールも同じ分子式C5H12O5ですので安全性に違いはありません。
例)イチゴ 約360mg/乾燥重量100g
カリフラワー 約300mg/乾燥重量100g
ナス 約180mg/乾燥重量100g
食品添加物としてのキシリトール
キシリトールは1997年4月に食品添加物として認可を受けました。もともと輸液に含まれる糖質として使用されており、安全性は十分です。
キシリトールの特性
・糖アルコールの中で最も甘い(砂糖と同程度)
・清涼感がある(溶ける際に熱を奪うため、口の中でスーとした感覚がおこる)
キシリトールとミントは相性がよい。
・冷却効果があるため、化粧品や夏用肌着や寝具に応用されることがある。
・苦味を消す効果や果物の味を新鮮にする効果がある。
・糖尿病患者でも安心してとることのできる甘味料である。
・むし歯予防に効果がある。
・1g3Kcalです。ダイエットには向いていません。
・キシリトールの取りすぎはお腹の緩みや下痢になることがあります。
むし歯にならない甘味料
糖アルコールからむし歯菌は歯を溶かすほどの酸を作り出すことはできません。ソルビトールやマルチトールからは少量の歯垢(プラーク)中で酸が作られますが、キシリトールではまったく酸は作られません。
また、甘味が強いため唾液分泌量が多くなり、その中和作用により口腔環境が中性になることもむし歯の原因とならない訳です。
むし歯の発生を防ぐ甘味料
キシリトールには他の糖アルコールにない”歯にやさしい”効果があります。キシリトールをガムやタブレットの形で一定時間以上口の中に入れておくと、
①歯垢(プラーク)が歯につきにくくなる
②歯垢中のカルシウムレベルを上昇させ歯の再石灰化を促進し、歯を強化する
また、キシリトールとカルシウムの複合体が歯の硬組織中に侵入して再石化を促進する
③むし歯菌(ミュータンス菌)の代謝を阻害する
④酸を作らない
⑤味覚刺激による唾液分泌の促進
⑥歯垢中の酸の中和促進
など、むし歯になりにくい口腔内環境ができます。
キシリトールの常用によるむし歯菌(ミュータンス菌)の変化
キシリトールを常用していない口腔内のミュータンス菌は
感受性菌9割、非感受性菌1割
3カ月キシリトールを常用した人の口腔内のミュータンス菌は
感受性菌1割、非感受性菌9割
となります。キシリトールを常用することで、ミュータンス菌が突然変異を起こし、感受性菌よりも酸産生が少なく、歯垢のネバネバ成分である不溶性菌体外多糖を作らない非感受性菌の割合が増えていきます。
結果として 歯垢の量が少なくなり、歯ブラシで取れやすく(歯垢の質と量の変化)なります。
*糖代謝を阻害されるキシリトール感受性ミュータンス・レンサ球菌(以下、感受性菌)
キシリトールを効果的に採るには
キシリトールの真価はガムやタブレットによって発揮されます。キシリトールが一定時間口腔内に留まる必要があるためです。特に、50%以上の濃度で含まれ、砂糖などの発酵性甘味料が含まれていないことも重要です。
パッケージの成分表示で糖類が0%であり、糖質中のキシリトールの割合が50%を超えていることを確認するとよいでしょう。
ロッテのキシリトールガムは糖質中のキシリトール割合は市販品で50%以上、歯科医院専売品で100%となっています。
むし歯予防効果を発揮させるにはキシリトールガムかタブレットを
1日3回、3か月以上続ける必要があります。
また、子供へのむし歯菌(ミュータンス菌)の感染リスクを減らすには歯が生える3カ月前から保護者を含め、周りにいる人のキシリトールの使用がよいとされています。
糖尿病とキシリトール
キシリトールは糖尿病患者の糖質補給剤として有用であるとされています。インスリンを必要とせず代謝系に入るうえに、吸収が遅い為、摂取後の血糖値の上昇が緩やかです。








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